服には人生を変える力がある-私のピンクのコート
[fontsize size=”7″]服は人生を変えます。断言します。[/fontsize]
ピンクのギンガムチェックで作られた木綿のコート。このコートを手に入れてから、少しずついろんなことが変わり始めました。
もう大好きな服。17,8年経つけれど、今も時々着る。この先もずっと着たいから、大切にしています。
服が人生を変えるだなんて、おおげさだなぁ、と思うかもしれないけど。でも私は確かにそのピンクのコートに引っ張って行ってもらったのです。
出会ってしまったピンクのコート
その頃、いろんな事がうまくいっていなかった。
フリーで頑張るんだと意気込んで、イラストレーターを目指していました。少しずつ仕事が増えて行き、最初はそこそこうまく行っていました。
でも無理をして続けるうちに、体調を崩して、仕事を断らなくてはいけなくなりました。
当然ながらその後、仕事がうんと減ってしまい。。
子供が小さかったし、離婚したし、稼がなくてはいけなかったのに。
困って実家に戻りました。
もう諦めて、地元で就職すべきかも。履歴書を何枚か書いたけれど、そこでハタと考えて。
諦める前に、もう一度やってみたい。
そこで細々とイラストの仕事を続けつつ、東京のイラスト教室に通うことに。プロを目指す人たちが通うところ。
そして、東京でのある日。その教室が終わって、新幹線の時間まで余裕があったので、近くのデパートにふらっと寄りました。
ピンクのチェックが私を呼んでいる
そこで出会ってしまった。そのブランドは、名前は聞いたことがあったけれど、よく知らなかったし、当時の私には手が出ない価格だったから、着てみようと思ったことがなかった。
なのに、なぜかピンクのチェックが私を呼んでいる。
青みの強い、ショッキングピンクと生成り色のギンガムチェック。色が派手かな。
試着してみたら、意外にも似合う。
でもちょっと高いし。
また今度にしよう。お礼を言って店を出た。東京駅はそこから15分くらい。駅に向かって歩き出す。
素敵なコートだったなぁ。うん。。
買う、今買わなきゃ。…
考えているうちに、なぜか、やっぱりあれは買うべきだったと思った。慌てて戻る。列車の時間はギリギリ。
間に合うかな。
だって今買わなきゃ、永遠に買えなくなってしまう!
大急ぎで戻りました。
「さっきのコート、買います!」
クレジットカードで買ったその服は大正解。その後しばらくは分割払いでちょっと苦しかったけど。
ブランドの名前を知る
その時ケイトスペードという名を初めて知ったのでした。
が、その頃すでに経営が思わしくなかったのか、服を作るのは今期で最後にして今後はバッグだけ作っていくことになります.どの事だった。
今思えば、ケイトスペード本人が直接服をデザインしていた最後のシーズンだったのです。
それを思うといっそう愛着が増します。この時期の服でもう1枚薄いラベンダー色の木綿ワンピースもあったけれど、いまひとつピンとこなくて、それは処分してしました。それも残しておけばよかったな。
このピンクチェックのコートは大大大好きでどこに着ていっても誰にみせても褒められる。
コートの作りはこうなっている
ちょっとコートのつくりを説明してみると素材は木綿、裏地もついた二重仕立て。柄はピンクのギンガムチェックでとても形が綺麗。直線的な比翼仕立てなので、ボタンは隠れている。
とにかくラインがきれい。色合いは、ショッキングピンクと生成り色のギンガムチェックなんだけど、ショッキングピンクという強めの色が、生成色によって程よく中和され、着やすい色調になっている。
本当を言えば、この色を手にしたときヴィヴィッド過ぎる気がして似合うのかどうかちょっと迷った。
着てみたらすごく似合った
でも着てみたら意外なほどしっくりきてびっくりしました。
顔にぱっと光がさしたような。何よりも顔色が良く元気そうに見せてくれる。それまで何年もの間、モノトーンの服が多くて、色物は落ち着いたレンガ色とかくすんだワイン系とかシックで落ち着いた色味で、どの色もたいして似合っていなかった。
この服はその後の明るい色を着るきっかけになりました。なんだかいろいろなことがうまくいかなくてくすぶっていた私に、”おしゃれって楽しい!最高。”と再び思わせてくれました。
若いころあの大阪心斎橋でワクワクしながら服を見て歩いていたあの頃を思い出させてくれたのです。
服を買ってから、変わったこと
この服を着るようになってからプライベートにも少し光が差すような出来事があって、まもなく絵本教室に通うようになり、1年後初めての絵本の出版が決まったのでした。
絶対にこれは偶然なんかじゃない。
このピンクのコートが私を引き上げてくれたんだと思っています。
だから服には人生を変える力が絶対にあります。